考えたこと

小林勝彦の思考のブログ

平成27年度長野美術専門学校入学式校長告辞、二つ目の要点

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本年度の告示は、ここまでまずまずの反応を感じながら、次の要点に移って行った。


さて、皆さんは此処に先生方やご家庭の方々に囲まれて式に臨んでいますが、皆さんのこれからと、周りの皆さんのこれからの姿について聴いていただきたいと思います。
これから生まれようとする雛が、内側からたまごの殻をコツコツとくちばしで叩いて破ろうとすること、またその音を「啐啄(そったく)」と呼んで表しています。また、その時親鳥が雛の誕生を助けるように、やはりくちばしで外側から呼吸を合わせ叩く様子を、仏教では「啐啄同時」と呼び、修行者とその指導者の好い関係を表しています。もし、たまごの中の雛があらぬところを叩いて、殻を割って出たところが地面だったとしたらその雛は外の世界には出にくいでしょう。またもし、そのまま生まれ出る世界を勘違いして地面にもぐって行ってしまったら、もしかしたら自分をモグラと勘違いしてしまったら大変なことです。親鳥がコツコツと割って中を見たら、もぬけの殻、などということも想像すると恐ろしくなります。一方、親鳥があまりに早く殻を突きすぎ、割ってみたところが中はまだ黄身、白身の状態だったらどうでしょう、まだ液体の我が子が流れ出してしまうなどの想像も空恐ろしいことです。

美専の先生方は、皆さんをプロへプロへと導いてくれます。ちょうどうまい加減で殻をコツコツと叩いてくれます。学校のカリキュラムは、今年また、いっそう精錬し準備されました。皆さんと皆さんの周りとの関係、学校の姿は卒啄同時でありたいものです。